経営でもシステム開発でも、
「正解を当てること」
に意識が向きがちです。
私自身もそうでした。
ですが実際には、最初から正解が分かっている案件はほとんどありません。
むしろ大事なのは、
「間違った方向を早く見つけること」
なのかもしれません。
最近、自分のためのPoC(概念実証)を作っていて、そのことを改めて実感しました。
複数のAIを跨いで対話履歴を保存し、後から活用できる仕組みを考えていました。
きっかけは単純です。
毎日のようにAIと壁打ちをしていると、
「以前どこかで似たようなことを考えていた気がする」
と思うことが増えてきました。
そこで、
という仕組みを作ってみることにしました。
仮説としては、
「過去の思考を振り返れれば、新しい事業アイデアのヒントになるのでは?」
というものでした。
システムは想定通り動きました。
PoCとして見れば成功です。
少なくとも、
「こういう仕組みは作れるのか?」
という問いには 答えが出ました。
実際に使い始めてみると、少し違和感がありました。
過去の会話を読むのは面白いのです。
「ああ、この時はこんなことを考えていたな」
「このアイデア、意外と今でも使えそうだな」
そんな発見はあります。
しかし数日使っていて気づきました。
目の前にあるのは、
思考支援ツールではなく、
思い出アルバム
だったのです。
過去を振り返ることはできる。
でも、次の事業企画や新しい発想に直接つながる感覚がありませんでした。
そこで改めて考えました。
私は何を作りたかったのだろう。
欲しかったのは履歴そのものではありませんでした。
本当に知りたかったのは、
ということです。
欲しかったのは記録ではなく、
パターンの発見
でした。
過去を眺めたかったのではなく、
思考のクセや執着しているテーマを見つけたかったのです。
私はそうは思いません。
なぜなら、このPoCによって
「作りたくないもの」
がはっきりしたからです。
少なくとも私が欲しいのは、
ということが分かりました。
最初は「何を作るか」を見つけようとしていました。
でも実際に得られたのは、
「何を作らないか」
という答えでした。
そしてそれは思っていた以上に価値のある成果でした。
仕事で相談を受けるときも、似たようなことがあります。
例えば、
「システム化したい」
という相談を受けても、話を聞いていくと本当の課題は別のところにあることがあります。
こうした問題が根本にあって、その結果として「システム化したい」という言葉になっているだけかもしれません。
最初に見えている解決策と、本当の課題は意外と一致しないのです。
今回のPoCは、履歴保存ツールを作るために始めました。
しかし実際に見つかったのは、
保存方法ではなく、
課題設定のズレでした。
システム開発でも経営でも同じだと思います。
人は解決策を探し始めます。
ですが本当に価値があるのは、
解決策の前に、
「そもそも何を解決したいのか」
を見つけることなのかもしれません。
PoCの目的は正解を証明することではなく、
間違った方向を減らすこと。
今回のPoCは、その意味では十分に成功だったと思っています。