なぜ家庭菜園?なぜ固定種?

美味しい野菜を食べるために

Posted by PLAO on Sunday, September 25, 2022

なぜ家庭菜園なのか?

このページをご覧になっている方には当たり前のことかもしれませんが、知らない方もいらっしゃるので書かせていただきます。

小売り、中食、外食産業への野菜の安定供給のためには、集約的で効率の良い大規模生産、大量出荷での流通が絶対に必要です。

収穫後、輸送の環境変化や衝撃に耐え、きれいな状態で店頭に並ぶ野菜。
成長の速さが安定していて、収穫時期が揃う野菜。
流通コスト、加工コストが省ける野菜。
マーケットはそのような野菜を求めています。

でも、そのような野菜が美味しいとは限りません
まずいとは言ってませんし、なかには美味しい野菜にこだわる農家さんもいます。
でも、一般的に野菜生産を業にしている農家さんが作るのはマーケットが求める野菜であり、私(もしくはあなた)個人が欲しいと思っている野菜とは限らないのです。

流通に乗せられないけどおいしい野菜。例えば、

  • 休眠が浅い(収穫してから芽が出るまでの期間が短い)けれど、コクと旨味があるジャガイモ
  • 皮が薄くて傷が付きやすく雨が降るとすぐ割れてしまうけど、甘みと芳香のあるニンジン
  • 皮が柔らかくて潰れやすいけど、コクと酸味が強い完熟トマト

こういった野菜はインターネットの農家直販サイトを使って購入することができます。
でも、ちょっと手間をかければ自分でも作れるんです!しかも無農薬で。

美味しい野菜を食べるため以外に、生産~売れ残り~廃棄のサイクルに感じる疑問も家庭菜園を続ける理由のひとつです。
残ったもの、目に見えるものは、食品リサイクルで活用されるものが増えてきました。
野菜の大量生産・流通・廃棄の過程ではエネルギーや薬品が多く使われますが、使われたエネルギーや薬品は再利用できません。
エネルギーロスと生産~廃棄のサイクル問題をうまく解決できるのが家庭菜園だと思います。

円安・資源高・肥料高のいま、農業・家庭菜園のミックスバランスを考える丁度良い機会です。
我が家1軒程度では何の影響も及ぼせないのは分かっていますが、自分ができることを地道に続けていきたいと思っています。

なぜ固定種なのか?

家庭菜園を始めると野菜の選択の幅が広がります。
耐病性のある品種、収量の多い品種、特定の用途に向いた品種、そして美味しい品種です。

我が家でも、家庭菜園を始めた年は苗を購入していました。翌年は、丈夫で多収の交配種の種子を購入。
「折角、野菜を作るのだから収穫が楽しめないのでは面白くない」からです。

現在は、在来種、伝統品種を栽培しています。「最悪、来シーズンの種が取れればいいかな」と思って作っています。
採種しない野菜でも栽培する品種は固定種を選んでいます。
特性を際立たせて固定した先人の労を思うと、敬意と感謝の念に堪えません。

買ってみたけれど自分には向いていなかった種子もたくさんあります。
毎シーズン、自分の住環境や食生活、嗜好にあった品種の取捨選択を続けています。

家庭菜園での自家採種は栽培量が少なく採種用の株数も限られているため、交雑や遺伝的な同質化の可能性があります。
長らく自家採種を続けた品種は、数年毎に種子を更新する(買い換える)こともあります。
また、アブラナ科(ダイコン、カブ、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、ケール)は交雑しやすい気がするので毎年購入しています。
今ある在来種、伝統品種も、販売先が減れば種子を採る人も減り、いつか絶滅してしまうかもしれません。
そのような観点からも固定種の種子を使い続けています。

自家採種品種の遺伝的多様性を確保するために、同じ品種を栽培している菜園家との種子交換ができればよいなと思っています。