すみません、タイトルは嘘です。全然、まったく、秘伝でも一子相伝でもありません。
糠と水を混ぜて待つだけなので。
ボカシ肥の匂いがぬか漬けのようになる場合は、ぼかし肥作りのコツが参考になるかもしれません。
肥料高騰の影響が少ない家庭菜園
肥料価格の高騰で農家さんの悲鳴が聞こえてきます。
趣味の家庭菜園ではもともと割高な少容量製品を購入するからか、周辺の畑からはそれほど不満は聞こえてきていません。
我が家では肥料を購入していないので、今のところまったく影響がでていません。
我が家の畑の肥料分は、
- 春先に枯葉を播いて起こす
- 暖かい時期にボカシ肥を作って畑に入れる
- 台所から出たくずを埋める
- 刈り草や前作ででた芥を埋める
程度です。それでも旬の野菜はおすそ分けできるぐらいの収穫ができています。
今後、肥料高騰の影響で水稲栽培農家の収量が減っていくようならボカシ肥を作る材料の糠(ぬか)の入手量が減ってしまうので、なにか代替策の検討は必要だと思っています。
ボカシ肥は有機質肥料の仲間
肥料には大きく分けて化成肥料と有機質肥料の2つの種類があります。
化成肥料
植物の生育に必要な三大元素N(窒素)-P(リン)-K(カリウム)を化学物質で構成した肥料。
即効性が高く、単位施肥量あたりの栄養が正確に計算できるので、作物の状況に合わせた施肥時期・量の管理が可能になります。
追肥(生育の途中で上げる肥料)に効果的。
生業として野菜を作っている農家さんには必要不可欠なツールです。
有機質肥料
稲藁(わら)麦藁、動物の糞(牛、豚、鶏、蝙蝠)、殻(玉子、牡蠣)など動植物の活動から出たものを肥料化したもの。
有機物が微生物に分解されて土に還っていく過程で作られた養分を野菜や果樹が吸収します。
長期にわたってゆっくり効果が効いていく肥料なので元肥(播種前や植え付け時に入れる肥料)として有効です。
有機(質)肥料と有機栽培と自然栽培 有機(質)肥料に似た言葉に有機栽培(オーガニック)があります。有機(質)肥料は有機物を発酵させてつくる肥料ですが、有機栽培は「有機JAS法」で定められたガイドラインに沿った栽培方法のことです。有機JASに基づく認証がなければ有機栽培(オーガニック)とは謳えません。 最近は無農薬、無化成肥料栽培の野菜を「自然栽培」として販売する農家さんも増えてきました。「自然栽培」の基準はとくに定義されていません。自己基準である(第三者の評価が必要ない)ことに注意してください。
当地長野ではキノコの商業栽培が盛んで、ゴミとなる使用済の培地を買って畑に入れる農家さん・家庭菜園家の話をよく耳にします。キノコの培地は、糠(ぬか)、おが屑、トウモロコシの茎、大豆の皮などを植菌前に蒸気で殺菌して作ります。
使用済の培地をダンプで運んでもらい、畑の隅に積んで発酵させ、数か月経ったら畑に混ぜてあげます。近所に大きなキノコ工場がある場合、頼んでおくと数か月後にダンプで持ってきてくれるそうです(お値段は、なんと1回数百円!Wow!)。
ボカシ肥とは
ボカシ肥は糠と水を混ぜて発酵させたもので有機質肥料のひとつです。
キノコの培地も糠が多く含まれていますので、ボカシ肥と考えても良いのではないでしょうか。
「ボカシは肥料じゃなくて土壌改良材」という方もおられるように、即効性は化成肥料にはかないません。
医薬品に例えて言えば、化成肥料は西洋薬、ボカシ肥は薬膳料理みたいなものでしょうか。
有機質肥料を使うと、野菜が風味豊かになります。
とくに糠と大根は相性が良いように感じます。ボカシを入れた畑の大根は、包丁を入れたときにパリッと割れてジュワッと水分が溢れだし、とても瑞々しい切り口になります。
ボカシ肥の作り方
上記のキノコの培地と同様の肥料を自分で作っていきます。
- 材料を集めて
- 混ぜて
- 待つ
だけです。
1.材料をあつめる
材料(お米の30kg紙袋1個あたり):
- お米の30kg紙袋(または適当な大きさの段ボール)
- 45L程度のゴミ袋
- 糠 15kg~20kg
- (無くても可)粉にした煮干しの頭、乾したコーヒー豆のカス
- 浄水器の水か、1日おいた水道水 3Lぐらい
2.材料をまぜながら袋に入れる
- お米の紙袋(段ボール箱)の中にゴミ袋を入れます。
- ゴミ袋に、4~5回に分けてぬかを移していきます。
- 15cm程の厚みになったところで煮干しの頭やコーヒーの出がらしを1/4~1/5量を入れてかき混ぜます。
- 水600ccを入れて手で混ぜます(ギュッと握ったときに握った形になって、両端から力を加えるとボロボロっと崩れるぐらい)。ビチャビチャしない程度の水分量です。
- 2~4を繰り返します。
3.1か月~2か月待つ
ボカシの材料を入れた紙袋(段ボール)を日当たりの良い所に置きます。
日に当たって温度が上がると、数週間で美味しそうな甘い香りがしてきます。(煮干しが入ると香ばしい香り)
夏なら1か月、春秋なら2か月程度待って中身を見ると、表面に白いカビが生えています。
そのまま畑に入れても良いですし、野菜くずや雑草と混ぜて堆肥にしても良いです。
分解された部分とこれから分解される部分がある状態がベスト。しばらく使わないのであれば、ブルーシートに広げて乾燥することで発酵が止まり、保存に向いた状態になります。
我が家では温度を上げるため日当たりの良いところに置きますが、日の当たらないところに置く方法も見かけます。
日陰で発酵させた場合は、ぬか漬けのような香りになります。
環境によって繁殖する菌の種類が違ってくるからなのでしょう。
手元にあるボカシには、収穫したジャガイモから起こした酵母(パン種用)を入れてみました。
発酵にかかる期間が短くなるかと思ったのですが・・・あまり変わらない様子。
今はだいぶ落ち着いていますが、温まるとビールのような香りがしていました。
ぬかに混ぜる材料もそうですが、いろいろ試して、ご自身の好みや菜園の作り方にあった方法を見つけていただければと思います。
試行錯誤も家庭菜園の楽しみ方のひとつですね。
糠の入手場所
糠はお米屋さんから譲って貰えます。玄米を買って精米をお願いすれば、出た糠を無料でつけてくれるお米屋さんもあります。
水稲栽培が盛んな地域にはコイン精米所があります。コイン精米所にはモミを排出するタンクと糠を排出する小屋がついていて、溜まったモミ・糠はゴミとして処分されます。廃棄物扱いなので溜まっていれば無料で持ち帰れます。見かけたら覗いてみると良いでしょう。