食料危機対策としての家庭菜園について
自然災害、戦争、円安。様々な要因から生活に必要なモノ・サービスの価格が上がっています。
野菜を作る上で特に価格高騰の影響が大きいのは、
- エネルギー
- 肥料
- 農薬
- 農機
- 外国人の労働対価
です。
一方、価格がそれほど上昇しないものとしてあげられるのは、
- 土地賃借料
- 日本人の労働対価
でしょうか。
そう考えると、いま国として必要なのは小さく分散した家庭菜園よりも、規模の経済を活かした集約的大規模農業なはず。
しかし、国の食糧政策に不安を感じ、家庭菜園を始める方が増えているような気がします。
どこまで準備するか
プレッパーとまではいかないとしても、食料政策に不安・不信を感じて家庭菜園を始める場合、どの程度のオフラインリスクを想定すればよいのでしょうか。
その時に備えて家庭菜園で野菜を作ると言いつつ、種子、肥料、資材、エネルギーを外部から購入しているのでは、いざ非常時になった時には材料不足に陥ってしまいます。
予め準備できること・できそうなことが、いくつかあります。
種子
種子はF1(雑種第1世代)ではなく固定種を使うことで、同じ形質の野菜を作り続けられます。
また、無肥料で採種を続けると、少肥でも育つ系統になっていきます。
早生(わせ・早く育つ品種)で少肥栽培可能な系統の価値が上がっていくかもしれませんね。
肥料
野菜の種類や、成長の過程によって吸収する栄養が異なります。
少肥栽培可能な品種、短期で収穫可能な品種を栽培することで肥料の依存度を下げることができます。
その他にも自宅でできそうなことを挙げてみると、
水稲栽培で藁、糠をとる
日本は「瑞穂の国」と言うように、水稲栽培の文化があります。
米作りで採れた可食部(白米)以外に、藁(わら)、籾(もみ)、糠(ぬか)の利用方法も残っています。
- 分解の早い藁を刻んですき込む。
- 籾の燻炭(炭化することで微生物の住処ができる)を播く。
- 糠を発酵させてボカシ肥にする
水稲栽培で使用する種籾(たねもみ)について 販売目的で水稲を栽培する場合は、種籾購入後、予め決められた年数で更新(購入)しなければいけません。流通する米の品質劣化を防ぐためです。 買取前の農産物検査(等級付け検査)を受ける際に種子証明(いつ、誰から、何年産の種子を買ったか)が必要になります。 自宅で食べる米であれば未検(農産物検査を受けない)でも問題ありません。籾の状態で保管して、翌年に種籾として使用することができます。 塩水選で比重の大きいものを残す、温湯消毒を行う、など予算を掛けずに良い苗を作る為の方法が確立されています。
水稲を栽培する場合は水稲用の肥料についても考えないといけませんね。
鶏を飼って鶏糞
鶏には餌が必要です。米・麦・トウモロコシ、大豆、カルシウムの摂れる何か、これが入手できるなら可能です!
ニワトリを飼うのが先か、餌を作るのが先か・・・それが問題ですね。
牛とか山羊とか
牛糞堆肥はパワーがあります。牛を飼って牛乳を採りつつ、糞も活用。耕運機の代わりに畑を起こしてもらえる(^_-)-☆。
そんな理想はすぐに崩れてしまいます。
まずは餌の確保が必要です。生育期間が長く病気にもなるので、牛の生体の勉強も必要でしょう。
我が家で借りている畑の管理人さんの実家では、昔、山羊(ヤギ)を飼っていたそうです。
「牛は大きいからねー。」
なるほど、場所も必要になりますね。
資材
我が家では殆ど資材を使いません。
防虫ネットが入手できなくても、虫を捕殺すればOKです。
アブラムシは潰すとウイルスを広める恐れがあるので、採種用の株についたものは筆で取ったり、薄めた牛乳をスプレーして駆除します。
エネルギー・燃料
自家用野菜を栽培する程度の広さなので、燃料の必要な機械が無くても作れなくはないでしょう。
我が家の草刈り機は充電式なので停電が続くと使えなくなるけど、三角ホーとノコ鎌で草刈りができなくはない!
見落としがちなのは情報源
今では、作りたい野菜の栽培方法はインターネットで探すのが一般的です。
播種時期、育苗方法、整枝、摘芯、着果、摘果。
家庭菜園は栽培する野菜の種類が多いので覚えきれません。
もし、戦争でインフラが破壊されたり、強烈な太陽フレアが発生して電子機器が使用できずインターネットに繋がらない状況になったとき、いったい何を参考に野菜を作れば良いのでしょう。
そんな状況で頼りになるのは、やはり書籍(紙の本)ではないでしょうか。
- 土壌(土づくり)
- 多種類の野菜栽培方法の基本
- 多種類の野菜の自家採種の方法
についての書籍を手元においておけば安心だと思います。
ITの技術とは違い、野菜の作り方は経年劣化しませんからね。
不断のリスク管理とコミュニティ構築が重要
もしもの時の家庭菜園と思うのであれば、
循環型(リサイクルオリエンテッド)・持続可能(サステナブル)・生態系(エコシステム)を意識した野菜作りを実践し、プランB(これがダメならどうするか?)を考えておく。
自分の菜園で作れないもの(藁、籾、糠、鶏糞、牛糞など)は、生産者から譲ってもらえる関係を築いていく。
それが最適解のような気がします。