被覆資材の功罪

借りた畑を掘れば必ず出てくる黒マルチ。最近はとらえ方が変わりました。

Posted by PLAO on Wednesday, February 1, 2023

ホームセンターに行くとビニールマルチ、農業用ネットなどが販売されていますね。
防草、保温、虫除け、遮光など、必要な機能に応じて様々な被覆資材があります。

でも、我が家ではあまり被覆資材を使いません。
主な理由は、

  • 再利用が難しいものが多い
  • 片付けが面倒
  • 経済的な負担

でしょうか。
家庭菜園を始めた8年前に購入したマルチもまだそのまま残っています。

農薬や化成肥料同様、適期に適当な方法で農業用被覆資材を使用すれば、大きくて綺麗な野菜が収穫できるようになります。
例えば、保温効果の高い資材を使用すれば生育も早まるので、通常の栽培時期より早い時期に収穫が可能です。
旬を先取りして高い単価で出荷できるので農家さんには必須のツールです。

家庭菜園では黒マルチを使用する方が多いです。
黒マルチを畝に張ると雑草の繁茂を防ぐとともに、地温が上昇しやすくなるので生育初期の根伸びを良くすることができます。

問題は、収穫後、片づけた後に発生します。
マルチの細切れになった残骸です。
特に畝側面の土を盛ってマルチを押さえる部分が劣化して、片付けの際に破れて残ってしまうことがあります。
細切れになったマルチは分解しにくいので、そのまま土中で掘り起こされるのを待つことになります。

厚みのあるUVカットの高耐候性商品か、生分解性の商品であれば畑には残りにくくなりますが、お値段もそれなりにします。

我が家は引っ越しが多く、引っ越先で畑を借ります。すると必ず黒マルチの破片がでてきます。
畑を耕していて細切れマルチが出てきたときは、風で飛んでいかないように持ち帰って処分しています。
以前は迷惑だと感じていたのですが・・・
最近は少し見方が変わってきました。

長野市の市民菜園の新区画を借りたときのことです。
畑になる前は建築会社の資材置き場だった場所だったそうで、鍬を入れると、割れたガラス、雨樋(プラスチック)や石膏ボード、ゴム板の破片などが沢山でてきました。
家に挟まれ他の区画より日照時間の短い区画だったので解約も考えたのですが、荒地を畑化する絶好の機会だと思い、とりあえず2年間試してみました。
目立ったゴミは処分しましたが、小さなゴミは取りきれずに諦めました。
2年目、以前からの先輩利用者から「どうなることかと思ったけど、良くなったね。」と言われるぐらいの状態にはなりました。

同じ時期、松代にも別の畑を借りて同じようなものを作っていたのですが。
春先の蕪の播種後しばらく掛けていた不織布の劣化具合に、明らかな違いが現れました。

細かなゴミが沢山埋まっている畑の不織布のほうが早く劣化したんです。薄くなって破れが多く、再使用できない状態になっていました。
プラスチック片が多い土中にはプラスチックを分解する微生物が繁殖するんですね。

この気づきがあってから、黒マルチの残骸にも寛容になることができました。
いずれ黒マルチ好きの微生物が分解してくれるから・・・って。
自然の均衡ってよくできてますね。

ただ、それが分かってもやはり私には気軽には使えません。
なるべく、その土地の気候や自然環境に合わせて育ち、穫れる時期に採れたものを食す。それが旬の楽しみ方だと思うからです。
生業ではないからこそできる贅沢な楽しみ方ですね。