固定種を放任栽培すると元気の良い野菜が穫れます。
収穫した野菜が美味しいので、種子をとって翌年も同じ品種を栽培したい。
在来種・固定種の野菜ならそれが可能です。
家庭菜園のような限られた面積の畑で少量・多品種を栽培すると、どうしても交雑の可能性が拭えません。
今回は交雑させずに採種するためのポイントをいくつかご紹介します。
★登録品種でないことを確認しましょう
交雑に関するポイントではありませんが大事なので書いておきます。
農林水産省 品種登録ホームページの下部リンクから流通品種データベースにアクセスし、登録されていないこと、もしくは育成者権が消滅していることを確認します。
登録品種であっても、家庭菜園での自家消費目的であれば問題ない品種もあります。育成者権者のホームページなど、状況に応じて情報源を探していきます。
★クローンで増える野菜は交雑しない
サトイモ、サツマイモ、キクイモ、ニンニク、ショウガ、イチゴ、種芋やランナーといったクローンで増やす(種子ではなく、自身がそのまま増殖の手段となる)野菜は交雑しません。
サトイモの畝に土垂、石川早生、八つ頭を並べて栽培しても交雑しないので問題ありません。
サツマイモの畝にベニアズマと安納芋を一緒に植えても交雑しません。
★マメ科は交雑しにくい
インゲン、大豆(エダマメ)のようなマメ科の野菜は、開花時には受粉済なので交雑の可能性が低い植物です。
とくに準備をしなくても、次世代の種子も同じ形質になることが期待できます。
★ナス・ピーマン・トマトも比較的交雑しにくい
ナス・ピーマン・トマトも自家和合性なので自家受粉します。
ただし、あまり近くに異なる品種を植えると、開花した日の早朝に蜂などの虫が他の品種の花粉を付けてしまうことがあります。
- 不織布で花や花房を包む
- 異なる品種は距離を離すか、キュウリやゴーヤの立体栽培のような障壁をつくる
- ナスの花のサイズであれば、虫が花に入らないよう洗濯ばさみで花びらをつまむ
などの工夫をすると良いでしょう。
支柱を叩くと実着きが良くなる トマトの花が咲いたら、畝に行って支柱の上端を「トントントン」と軽くたたいてあげましょう。 花の中で花粉が落ちて受粉・結実の確度が高まります。
★メロン・カボチャ・スイカ・キュウリ・ズッキーニは2株以上栽培で人工授粉
ウリ科は、基本的には雄花と雌花に分かれているため自家受粉できません。
受粉を虫や風に任せると交雑してしまうので、人工授粉を行います。
- 同じ品種を2株以上栽培します
- 受粉させたい花の開花前日に不織布を掛けておく、または洗濯ばさみで花先をつまむ
- 開花日に同じ品種で別株の雄花の花粉を雌花につける
- 受粉当日は不織布を掛けておく、または洗濯ばさみで花先をつまむ
カボチャやズッキーニの花は大きいので作業が楽です。
メロン、キュウリは雄花が小さいので比較的作業しにくいかなぁ。
うまく受粉できれれば数日後に子房が膨らみ始めます。
え? 翌日開花しそうな花の見分け方?
・・・一度経験すれば分かるようになります。