農家とは
農家は生業として農業を営みます。
野菜や米穀、畜産物の生産など、社会的にモジュール化(細分化と深化)された役割を担っています。
消費者が口に入れる食品の物質的な流れを川に例えるなら、最も上流に位置しています。
川の上流は一か所ではありません。雨や湧き水が集まって支流となり、方々からの支流が合流して次第に川を形成していきます。
農家さんは、この支流のような存在です。
自分の川下に水を流すことが最大のテーマで、必要があれば護岸工事を行い、流量のコントロールをすることもあるでしょう。
一般的な農家さんは、あまり他の支流(作り慣れていない野菜)には興味がありません。
最近は株式会社化する農家さんも増えてきています。
株式会社になることで信用力が向上し、資金運用面でのメリットを受けられるようです。
また、高齢化にともなう事業継承問題についても、事業経営や組織運営のモジュール化が進み属人性を排除することで、M&Aによる事業売却が選択肢として検討しやすくなります。
株式会社化する農家さんが増えた影響で、今後は川下に生産物を流すことよりも利益を追求する農家さんが増えていくのではないでしょうか。
でも、そういう環境だからこそ、更に事業内容を洗練させたグローバル・ニッチ・トップ「これしかできないけどこれだけは世界一」の面白い農企業が生まれる可能性もあります。とても楽しみです。
百姓とは
農家が細分化・深化した川の支流のような存在なら、百姓は水たまりや池のような存在です。今時珍しいスタンドアロン型です。
百姓は、字の通り百の姓(かばね・役割)を自分でこなすこと、です。(農家が楽だと言っているのではありませんよ)
例えば、私が実践している家庭菜園ですが、
- ぬかと毎日の生活から出るゴミ(コーヒーかす、煮干しの頭)でボカシ肥を作る。
- 作った肥料で野菜を育てる。
- 良い形、美味しい野菜から種を採る。
- 作った野菜を食べる。
- 残ったゴミ(野菜くず)で堆肥を作る。
- 米を精米して、ゴミ(ぬか)を採る。
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小さいですがサイクルになっています。
米、コーヒー、煮干しは外部から入ってきていますが、コーヒー、煮干しは無ければ無くてもかまいません。
代わりにクズ大豆を入れたって良いと思います。
上の作り方は、
- 野菜を作る(野菜農家)
- 種を採る(種苗屋)
- 消費する(消費者)
- 廃棄物から肥料を作る(肥料屋)
4つの役割を担っています。ですから私は四姓(百姓まであと96姓)です。
お米が作れれば姓(水稲農家)が一つ増えるのと、外部から持ってくる要素が一つ減るので、より閉じたサイクルになります。
閉じたサイクルになるほどエコシステムを含めて地産地消になっているということです。
これからやってみたい姓は、
- 水稲を作って米をとる。糠と藁は肥料の材料。
- アブラナの種や落花生から搾油器でコールドプレスの油をとる。搾りかすはボカシ肥の材料。
- 鶏を飼って卵を採る。鶏糞は発酵させて肥料。餌は、くず大豆、ぬか、油のしぼりかす、庭鳥にすればミミズを啄むでしょう。
- 山の木を切って乾燥させて使う薪ストーブ。薪の灰を畑に入れれば消石灰のように土がカチカチになることもありません。
まるで時代に逆行した生活ですね。
いろんな物事が互いに関係しあっています。専門の仕事ではないので効率は悪いでしょう。
お金を稼ぐための仕事ではなく、自分の生活のための仕事。
自分が「今日一日生きること」を繰り返すための仕事。
それが百姓の本質だと思います。
たくさん稼いで、早く百姓になりた~い!(笑)