野菜の価値とは
スーパーで売る野菜には均一なサイズ・色・形が求められます。
コモディティ(汎用品)化した商品なので消費者の判断基準は絞られます。
- 価格
- 産地
- 見た目
の3つです。
選択肢を絞ると、迷う要素を排除することができます。
お陰様でとても効率よく買い物ができますね。
長野のスーパーでは見かけないのですが、都市部のスーパーやデパートでは「有機栽培」野菜のコーナーがあります。
慣行栽培(農薬、化成肥料を使った一般的な栽培方法)の野菜より価格が高いのでなかなか手が伸びません。
ニンジン売り場で慣行栽培ニンジンが売り切れの場合を想定してみます。
- 慣行栽培ニンジン 3本100円(売り切れ)
- 有機栽培ニンジン 3本200円
食べみてれば、有機栽培ニンジンの方が甘みと芳香が豊かで、それ以降その生産者・品種を買い続けるきっかけになるかもしれません。
しかし、2倍の価格のニンジンをレジに持っていく方は稀でしょう。
では、災害や天候不順での野菜高騰時はどうでしょうか。
- 慣行栽培ニンジン 3本300円
- 有機栽培ニンジン 3本360円
もしここで慣行栽培ニンジン3本300円が買えるのであれば、普段から有機栽培ニンジン3本200円を買っても良さそうなものです。
こうしてみると、ニンジンを選ぶ基準は、慣行栽培と有機栽培の相対的な価格差であって、有機栽培の本質的な価値やニンジンの絶対的な価格感ではなさそうですね。
家庭菜園で作る野菜の場合は、作る人それぞれの視点で基準を設けていきます。
家庭菜園野菜の価値基準
家庭菜園の野菜をスーパーの判断3基準で検討すると、
- 産 地:自宅近辺なので安心ですが、残留農薬の検査などはありません
- 価 格:畑賃料・肥料代・資材や道具への投資・作業人工を換算すれば、慣行栽培の数十倍の価格
- 見た目:虫食い、股根、割れが多く、出荷停止もの
となります。全くナンセンスです。
家庭菜園で作る野菜には、それ以外の価値基準があるんです。
我が家で栽培品種を選ぶ基準は、
- 風味、味
- 収穫可能な時期
- 保存可能な期間
- 栄養
- 種取りの可否
です。
まず、美味しいか/美味しくないかで、作る/作らないが決まります。
次に、どのぐらいの期間収穫できるのか。収穫した野菜はどの程度保存できるのか。を検討します。
継続して自家採種していける品種であることも判断基準の一つです。
我が家の “かわいこちゃん” が毎日食べる(食べさせられてる?)ニンジン。
畑にないときはスーパーで購入します。
洗ってあるし、形も良くて使いやすいのですが、1週間もたたないうちに皮が黒ずんできます。
一方、我が家の畑で採れたニンジンは、岐根(きこん、股根)だし、サイズもバラバラ。なかには萎んでしまうものもありますが、20日おいても黒くなりません。
品種なのか、時期なのか、土質や肥料の違いなのか。
統計をとったわけではありませんが、肌感覚として、少肥栽培の野菜は腐りにくい気がします。
家庭菜園で作る野菜は、実際に作って、食べて、あるいは保存してみないとわからない基準を重視する傾向があります。
野菜は作る人の足音を聞いて育つと言われています。
収量や価格ではなく、ひと株の野菜とふれあう時間、お世話する時間の長さを価値基準にしてみるのも面白いかもしれません。
大根1本 60分