雑草の中に、もと光る茄子なむ一本ありける

自生え野菜を育ててみる

Posted by PLAO on Monday, October 10, 2022

雑草の中に野良野菜

植えてないのに勝手に生えてくるスギナやカヤツリグサ、エノコログサ。
畑では一般的に雑草として扱われ、嫌われる植物です。
我が家では、野菜の生育が雑草に負けることがあるので畝回りに生えたものは抜いたり刈ったりしますが、それ以外は酷くなければそのままにしておきます。
畑回りの草を刈るのは、風通しが悪くなるぐらい雑草が蜜に生えた場合や、雑草マルチ(保水や保温のために畝にかける)、雑草堆肥で必要な場合。
雑草も立派な循環資源として活用します。

周りの畑では、雑草防止のため畝に黒マルチを張ったり、畔には防草シートを敷いています。
だから、周りの畑と見比べてしまうと、我が家は雑草が茂っている畑に見えます。
それでも「前の人は酷かった」と言われるので、以前は余程の状態だったのでしょう。

その茂み(本人はそんなにひどくないと思っていますが)の中に自生え野菜が紛れていることもあります。
気が向いたら、そんな野良野菜を育ててみることがあります。

草取物語

夏の初め、家庭菜園家の男が夏野菜の苗を育苗中でした。

男はその土地での育苗に慣れていなかったため、思っていたほど気温が上がらず苗の育ちが悪いことに不満を抱えていました。

育てている苗は大きくならない一方で、育てていない雑草はすくすくと伸びていきます。

ある日、男は、小高く見晴らしの良いゴボウの畝に何食わぬ顔で陣取っている雑草どもを三角ホーを使って削り取っていました。

すると、雑草の中に、他とは明らかに違う形の草が、金色に輝くように生えているではありませんか。

「ちょっと待てよ、これは見たことのある植物だぞ・・・」

「なんだったっけ・・・」

「ナスだ!」

種も無いのに野菜が現れるはずはありません。きっと「前の人」の取り残しか、鳥が運んできたかのどちらかでしょう。

天の巡り合わせと思った男は、移植ゴテを使って、根を切らないよう一回りも二回りも大きく堀りあげ、自分が育苗中のナスを植える予定だった畝に移してあげました。

おわり。

エピローグ

上の草取り物語は中途半端に終わってしまいましたが、実際のところそんな感じです。

敢えて続きを書くとすれば・・・

家庭菜園家の男がゴボウの畝で見つけたナスは、男が育苗していたナスよりも早く実を付けました。

花も順調に増えて着果数は悪くありませんが、ひとつひとつの実があまり大きくなりません。そのうえ食味もスーパーで売っている普通のナスでした。

一方、男が育苗していた「育ちの悪かった苗」は、定植こそ遅れたものの、圧倒的に大きな葉と太い樹に育ち、秋が終わる前になんとか大きな実を着けました。

菜の道 フローレンスパープル
大きなナス(フローレンスパープル)は透明感のある瑠璃色で、焼いて食べるとフワフワのトロトロ。甘みもあります。

男は、来年は加温してでもフローレンスパープルの育苗を頑張るぞ!と心に誓いましたとさ。

つづく、