野菜の乏しい季節に備えて

保存ができる野菜と保存方法について

Posted by PLAO on Saturday, December 17, 2022

冬季は畑に植わっているものも少なく、野菜の成長も遅いため、畑に通う回数も減っていきます。
収穫も減ってしまう時期ですが、寒さに強い野菜や保存の効く野菜を栽培したり、食べきれない分をひと手間かけて保存食にしておくことで野菜が不足しがちな季節を乗り越えることができます。

収量不安定な家庭菜園

「今年は、植えたけど穫れなかったなァ。」
「今回は、食べきれないほど穫れたよ。」
農家さんと比較して、家庭菜園では、より多くの種類の野菜を栽培しつつも生育環境はあまりコントロールを行いません。自然任せといった方が良いでしょう。そのため、同じ方が同じ野菜を作っても作る度に品質や収穫量に違いがでてきます。
農家さんにとってはリスク以外の何物でもない収穫量・品質のボラティリティですが、家庭菜園家にとってはそれほど深刻な悩みではありません。

生育が悪ければさっさと違う野菜に植え替えます。
どちらかというと、困るのは穫れ過ぎた時。
どの枝にどんな実が付いているかを覚えるほど愛情込めて育てるので、いくら出来過ぎても捨てる気にはなれません。友人・ご近所にお裾分けして(押し付けて?)食べていただいたり、保存食にしたり。
そういった柔軟な対応ができるのも家庭菜園の魅力でしょうか。

野菜の保存方法を知っていれば、なおさら、自分の畑で穫れた野菜への愛着が増します。
野菜の保存には大きく3つの方法があります。

保存の効く野菜と保存するための加工

保存の方法は、

  • 畑に置いておく
  • 収穫後そのまま保存
  • 加工して保存

の3タイプです。

[1]畑に置いておく

使う時に収穫できる野菜は、必要になるまで畑で保存可能な野菜。
葉を欠いて使ったり、耐寒性のある野菜をレパートリーに加えると長期間の収穫が楽しめます。
注意点として、収穫適期を過ぎると固くなったり風味が落ちたりすることがあります。
是非、いろいろ試してご自身にあった収穫時期を見つけていってください。

欠いて使う野菜

生育の良い夏~秋の葉物は、1枚1枚葉を欠いて使うことで長く収穫を楽しめます。
我が家で栽培している野菜でこのタイプは、

  • ケール
  • チャード(不断草:フダンソウ)
  • コスレタス

です。
ナス、ピーマン、トマト等の果菜類やインゲン等も、根を抜かないという観点ではこのタイプに当てはまりますが、収穫のタイミングが野菜主導なので・・・。

寒さに強い野菜

冬季の家庭菜園は殆ど動きがありませんが、野菜のなかには霜にあたった方が美味しくなるものもあります。そのような野菜は冬でもそのまま畑に置いておきます。
寒さに強い野菜は、冬の間、葉を小さくしたり、ロゼット状にペタッと葉を地面に広げたり、地面に潜り込んだりこんだりします。霜で凍みないように糖分を蓄える野菜は甘みを増してきます。
我が家で栽培している野菜でこのタイプは、

  • ケール
  • ほうれん草
  • ビーツ
  • パースニップ
  • 長ネギ

です。
寒い日の午前中に畑に行くと、野菜自体は凍みてなくても、土が凍っていて引き抜けないことがあります。

[2]収穫後そのまま保存の効く野菜

収穫後なんの手間もかけず、そのまま長期保存ができる野菜の代表選手は、なんといってもカボチャです。夏の終わりに収穫したカボチャでも年末まで保存しておけます。固いカボチャほど長く保存できるような気がします。そのカボチャが固定種なら、食べた後に残る種子で同じ形質のカボチャが作れます。1粒で何度も美味しい、それが固定種!

菜の道 野菜の保存 カボチャ

我が家で栽培している野菜でこのタイプは、

  • カボチャ
  • 冬瓜
  • ジャガイモ
  • サトイモ
  • ショウガ
  • トウモロコシ(爆裂種:ポップコーン、硬粒種:フリントコーン)
  • エダマメ(大豆)
  • インゲン(実採り)

です。

冬瓜も8月収穫で年末まで保存可能、「冬」を名前に冠するだけのことはあります。

菜の道 野菜の保存 トウガン

ジャガイモは6月下旬に収穫後、冬前まで使えます。芽がでてきたら早めに摘み取りましょう。
サトイモ・ショウガは、11月に収穫して家の中の暖かいところに保管しておきます。随時使っていきながら、5月の植え付けで使用する種子イモを残すようにします。
乾燥させたトウモロコシや実採り用の豆類は、そのまま翌年の種子としても使用できます。

[3]加工して保存する

収穫した後ひと手間かければ、保存できる野菜の幅が広がります。
我が家でひと手間掛けるのは、

  • [漬ける]キュウリ
  • [漬ける]ダイコン
  • [漬ける]ビーツ
  • [漬ける]ショウガ
  • [煮る]トマト
  • [乾す]ズイキ(サトイモの茎)
  • [乾す]ダイコン

「漬ける」は発酵させて乳酸菌を増やすことで+αの効果が期待できます。
「煮る」「乾す」は加工することが目的ではなく、一時に穫れ過ぎたものの延命目的な場合が多いです。できれば旬のうち(穫れたとき)に味わうのが良いと思います。

菜の道 野菜の保存 トマト
菜の道 野菜の保存 ズイキ

あっ! でも、

  • [蒸す&乾す]サツマイモ

は別格です。干し芋は欲しいもん。

先達に学ぶ野菜の保存方法

当地長野は長寿県として有名です。雄大で豊かな自然が生活でのストレスを緩和するのかもしれません。
でも、それは近年の話。冷蔵保管や近代農業技術が普及するまでは、「姨捨(おばすて)」や「おじろく・おばさ(長男意外は単なる労働力とみなす家長制度)」といった貧しさ故の伝統があったようです。
神奈川では冬越しになんの苦労もなかったのですが、長野の冬は厳しい。私も、気温マイナス2桁の冬越しの方法を畑のご近所さんに教えていただいていろいろ勉強中です。基本的には、畑に穴を掘って藁・もみ殻と白菜・大根などの野菜をミルフィーユのように重ねて保管するのが一般的なようです。
我が家では段ボールや発泡スチロール箱に入れて室内で保管しています。

待ち焦がれる春の味覚

迎寒に間に合わず結球しない白菜ができてしまうことがあります。そういった場合は収穫せずに畑に置いておき、春になって葉の間から出てきた新芽を採取します。スパゲティやシチューの具にすると、風味・甘みがあって美味しい。白菜の葉より芽のほうが好みかな、収量はかなり少ないけれど。

雪や霜に覆われ、食べるものが限られる厳寒の冬。フキノトウ・ワラビ・ゼンマイ・タラの芽から始まる春の訪れが待ち遠しい。