農薬についての考え方

大事なのは程度ではなく目的では?

Posted by PLAO on Monday, October 3, 2022

農薬を使うべきか、使わざるべきか

殺菌剤、殺虫剤、除草剤。
用途や対象よって様々な種類の農薬が販売されています。
野菜生産を生業にしている農家さんにとっては、化成肥料と同様、作物や圃場の状態をコントロールするために必要不可欠なツールです。

これから家庭菜園を始める方に農薬のかかっていない安心安全な野菜を作りたいと考える人が多い一方で、慣れてくると収量を優先するために少し農薬を使う方が増えるようです。

家庭菜園で農薬を使用する場合には、

  • 残留農薬の検査がない
  • 周りの住人、菜園家の理解が必要

などに留意して使用することが求められます。
食べる人だけではなく、周りの環境、生態系にも影響を及ぼすということですね。

「野菜や果物が虫に食われるとストレスを感じて有害な物質を出す。しかし、生成量がコントロールできないので危ない。管理された農薬の方が安全」という考え方もどこかで読んだことがあります。

結論を言えば、農薬を使う/使わないについては個人の好み、考え方だと思います。
なぜ家庭菜園をするのかに立ち戻って、考えて、必要なら施用すればよいのではないでしょうか。

使って当たり前、思考停止の菜園家

春先に、
「フィルダークラウトで作ったザワークラウトを食べたくて、なんとしてでも今から作りたいんだ」と言う人がいれば、
「大変だと思いますが、大きなとんがりキャベツにと育つといいですね。」と心から思います。

大きくて変わった形のキャベツは、マーケットでは求められず既存の流通販路には乗りにくい品種です。
その時期、満開のアブラナ科の花の周りでは2頭のモンシロチョウが幸せそうに舞っている姿が見られます。
農薬を使わずに1畝の無傷のキャベツを育てるのはかなり難しいのではないでしょうか。
そういう時期に店頭で売ってないものを自分で作るのですから、農薬を使うのも仕方ないのかなと、ある程度の理解はできます。

私が疑問を感じるのは、目的なしになんとなく農薬を使っている方です。
そういう方は「ちょっとだけ」と申し訳なさそうに言います。
他の畑の方(以下、畑)とよくこんなやり取りがあります。

私:「虫に食われませんか?」
畑:「食われる。だから最初にちょっと薬使う。」

私:「品種はなんですか?」
畑:「なんだろ、苗で売ってたやつ」

私:「この野菜は今回初めてなんですか?」
畑:「いや、毎年やってる」

私:「なんかこだわりあるんですか?」
畑:「いやぁ、とくに。」

もう、ここまでくると
「だったらスーパーの野菜でいいんじゃないの?」
と思ってしまいます。

ゲームが好きといってる人が、無敵になる裏技でゲームをクリアするような話です。
こういう方達はいったい何がしたいのでしょうか?
育てるのが面倒で、農家さんと同じ方法で、しかも同じ野菜(F1品種)を作るんなら「買った方が楽だし、安いし、環境負荷も少ない」でしょ。
節税のために「田畑」にしておくのが目的なら、そういうやり方もあるかもしれません。

育てるって無難に過ごすことじゃないはず。
今回は野菜の話ですが、育児にだって同じことが言えます。

紆余曲折があってあたりまえ。
苦労や困難にぶつかったら、よく観察して、頭を使って考えて、一緒に乗り越えようとすることで経験を積んでいく。
育てるってそういうことだと思います。

まぁ、

目的もなく、なんとなく作ることができるもの家庭菜園ならではなんですけどね・・・。